現場社員の自主的貢献が支える全社ナレッジマネジメント

今回は、住宅設備・建材を開発、販売する株式会社LIXIL様を訪問しました。LIXIL様では、経理部門のノウハウ共有から始まったナレッジマネジメントの取組みを2016年より全社に展開され、複数のシステムに保管されていたナレッジを統合するナレッジベースとして「Accela BizAntenna」(以下 Accela )を導入されました。今回はLIXIL様での全社規模のナレッジマネジメントのお取組みについてお話を伺いました。

株式会社LIXIL
IT Function システムインフラ部部付部長菖蒲真希様
システムインフラ部 KM推進グループ主査村上修司様
KM推進グループ多田浩子様
KM推進グループ中林雄一郎様
KM推進グループ大塚翔太様

経理部門間のノウハウ共有から全社規模のナレッジマネジメントへ

まずは御社の事業についてお聞かせください。
LIXILでは、住宅の水まわり製品、窓、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、販売しています。2011年に国内の建材メーカー5社が統合し、株式会社LIXILが誕生しました。

ナレッジマネジメントの取組みを開始された経緯についてお聞かせください。

株式会社LIXIL
IT Function システムインフラ部
KM推進グループ主査
村上修司様

もともとは、私(村上様)が経理部門内で工場間のノウハウ共有を目的に行っていた取組みがベースとなっています。入社してからの11年間は、全国7工場に転勤し工場経理を担当していました。そこで実感したのが、行う業務が共通でも、業務の中で生まれたノウハウは工場間でまったく共有されないということでした。
これを解消したいと考え、業務のかたわら自主的にノウハウを蓄積・共有するツールをExcelで作成し、経理部門全体でナレッジを活用する取組みを始めました。その活動が進むにつれ、参加者も管理するナレッジも増え、私個人の活動の域を超えていった頃、2016年に情報システム部門に異動となり、そこで全社の活動として正式に取組むことになりました。
異動してまず取りかかったのがナレッジを集約するためのシステム探しです。当時ナレッジは、とりあえず何でも入れる「書庫」、カイゼン事例に特化した「ナレッジパーク」、そしてFAQ集の「ナレッジQA」と、3つのデータベースに分かれて保管されていました。この3つを統合するために導入したのがAccelaでした。

ログを活用したポイント制やランキングでユーザーのモチベーション向上

Accelaを採用いただいた決め手はなんでしょうか。

株式会社LIXIL
IT Function システムインフラ部部付部長
菖蒲真希様

システムの選定で重視したのは、ログが細かく取れることです。ナレッジマネジメントの成功には、現場社員の自主的貢献と、それを支えるモチベーションアップの仕掛けが重要だと考えています。そこで、ユーザーのモチベーションを上げるために、投稿や「いいね」の数でポイントが加算されるポイント制度や部門・部署ごとに活用度を競うチームランキングなど、様々な試みを行ってきました。ランキング上位のユーザーやチームは半年に一度開催している「ＫＭアワード」というイベントで表彰されます。こうした取組みを続けるためには、コンテンツの投稿や利用に関するログを細かく取得できることが必須だったのでシステム導入の際はそこを重視し、最終的に選んだのがAccelaでした。

ログを重視されたというのは大変興味深いです。モチベーションの向上を何より大切に考えられているのですね

株式会社LIXIL
IT Function システムインフラ部
KM推進グループ　多田浩子様

はい、そうですね。効率化や生産性向上はもちろんですが、社員の士気・やる気を高め、さらに感謝の気持ちを伝え合いあらたなコミュニケーションを生み出すことがこの活動で最も大事な部分だと考えています。
ポイントやランキングがモチベーションになり、積極的に取り組んでくれる部門も増えてきました。またAccelaのコメント機能を利用して、ユーザーが役に立った投稿に対しコメントを残すと、投稿者に御礼のメールが届く「ほめほめーる」という仕組みも運用しています。人の役に立ったという達成感も、モチベーションアップには重要だと感じます。

全国で3500人を超えるユーザーは自主参加

ユーザーはどのように増やしていったのですか。

株式会社LIXIL
IT Function システムインフラ部
KM推進グループ中林雄一郎様

参加は強制ではなく基本的に自主参加制です。全社での取組みを始めた当初、ユーザーは700人ほどでした。2017年9月にAccelaを「知識の木」と名づけ運用を開始した際には、ユーザーを増やすためのキャンペーン施策を実施したり、イントラネットで露出を増やした結果、約1400人にまで増加しました。その後もテレビ会議で説明会を定期開催するなど様々な活動を続け、現在は約3500人が参加しています。取組みがスタートした時点から5倍にまで膨らみましたね。

3500人というのはすごい人数ですね。どのような方が参加されているのですか。
参加者の内訳で一番多いのはもともと利用していた経理部門ですが、次に多いのが営業部門です。営業部門でもやはり経理部門と同じように営業所ごとにマニュアルが作られたり、そこで生まれた独自のナレッジが他所に展開されないという課題がありました。工場間や拠点間の情報共有については、業務内容が違っても各部門とも近い状況にあるようです。

「タグ」で分類し「ビュー」で部門ごとに業務に特化した情報を表示

異なる部門のユーザーが使用していく上で、ナレッジを参照しやすくする工夫はされていますか。

株式会社LIXIL
IT Function システムインフラ部
KM推進グループ大塚翔太様

コンテンツはユーザー数の多い経理部門に関連したものがおのずと多くなっており、すべてのコンテンツが混在して表示されるとどうしても経理業務に関する内容が多く目についてしまいます。それを他部門の方が見た時に「関係のない情報ばかり」と認識されてしまわないように、部門ごとにビューを分けて関連する情報のみを表示させています。コンテンツにタグ付けすることで、何に関連するナレッジなのかといった分類が簡単にでき、それをもとに表示させる情報を整理できるのがとても便利ですね。
また情報を探す際に、キーワード検索だけだと、適切な言葉を思いつかず何もヒットしなかったり、逆にヒットしすぎて必要な情報にたどりつけないということがあります。
この点はAccelaの「ドリルダウンナビ」による、タグから絞りこみメニューを自動生成する機能を活用しています。これにより「事例」や「マニュアル」といったナレッジの分類や「時間短縮」や「コスト削減」といった期待する効果などから関連する項目を絞りこめるようになりました。初心者でも簡単に探している情報にたどりつけるのが良いですね。全社で利用するからこそ、たくさんのナレッジが集まりますが、そこからいかに各自が必要な情報を簡単に探し出せるかが重要だと思っています。

取組みを広め、企業の認知度向上に貢献

それでは最後に、今後の展開をお聞かせください。

アクセラテクノロジ株式会社
代表取締役社長進藤達也

全社での部門横断的なナレッジ共有に加え、設計部門などで、より各業務に特化した使い方をしていけたらと考えています。
さらに、業務上の細かな情報伝達の場として、チャット形式の社内SNSを利用しているのですがここで生まれたナレッジが「知識の木」と連携できると良いですね。社内SNS上での日々のやり取りの中にもたくさんのナレッジが埋もれています。このナレッジも「知識の木」内で共有し、それぞれの業務に役立てることができればと思っています。
また、ナレッジマネジメントの活動を知った他社の方が、弊社に見学にいらっしゃることもあり、この活動で企業の認知度向上に少しでも貢献できればと思っています。
こうした活動により、社内でのナレッジマネジメント活動の認知度も上がり、会社の誇りにできる取組みとして考えてもらえたら嬉しいです。

今後の活動も楽しみです。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

活用イメージ図