ナレッジが組織内を循環し業務改善に繋がる!ナレッジの「動脈」と「静脈」

村上 修司(KMエバンジェリスト)

こんにちは。「てけ王」こと村上修司です🐔🍗


さて前回は、ナレッジマネジメントを進めるためのステップについてお話ししました。今回は、その活動ステップの一つ、「業務に組み込む」に関して、ナレッジが効率的に社内を循環し持続的に効果を出すための仕組みについてもう少し掘り下げてお話しします。

社内を循環するナレッジ

アクセラテクノロジでは、企業の各種事業拠点や、ときに代理店など取引先も含め、業務に関わるナレッジが現場の隅々まで循環していく仕掛けを、体内に血液を循環させる血管に例えて、ナレッジの「動脈」と「静脈」と呼んでいます。



ナレッジの「動脈」は、形式知を業務の現場に伝える流れ
です。

ここで言う「形式知」は、業務標準書や手順書、業務チェックリストなどです。まずこれが無いとナレッジ共有はスタートしません。

ですが、この一方通行だけでは、「そこで提供されたものが実際に役に立っているのか?」「提供されている内容に間違いや例外は無いのか?」「もっと良いやり方、アイデアは無いか?」 といったことまでは分かりません。

結果として、改善に繋がりません。

具体的に言えば、例えば新商品の販売などの際には、事前にセールスマニュアルや保守マニュアルなどの形で、製品責任部門が最低限の「形式知」をナレッジの「動脈」経由で現場に届けていると思います。


しかし、「こういう提案が効果的だった」とか、「この部品が壊れやすい」などの気づきは、現場にいる担当者だからこそ気づくものです。重要な知識は現場にあるのです。

ナレッジの「静脈」は、現場のナレッジを「汲み上げる」流れです。

汲み上げたナレッジを形式知化し、業務標準書や手順書、業務チェックリストなどに反映させることができれば、より有益なナレッジ共有へと深化していきます。

ナレッジの「静脈」は、何を流すか?

現場からフィードバックすべきナレッジには、大きく分けて2つあると考えています。

1つは、現場の担当者が、実際にフィードバックする「内容」の部分です。
製品責任部門やナレッジ推進部門に対する、質問や要望、公開ナレッジへの
修正依頼や追加情報、気づき、アイデア、改善ポイントなどです。

これをITで実現するとすれば、ナレッジに対するコメントやメッセージのやりとりなどができる機能や仕組みが必要ですね。そういったやり取りから、コミュニケーションも生まれ、大変効果的です。

2つ目は、現場でどのようにナレッジが探され使われているか、といった「行動情報」のフィードバックです。

例えば、ナレッジベースからナレッジを探すときに使われた検索ワードはまさに、「現場が今、知りたがっている事」そのものですよね。

また、よく使われている検索ワードに対して、例えばヒット件数がゼロ件であったら、それは現場に伝えている形式知と現場ニーズとがマッチしていない!と言えます。すぐに改善に繋げる必要がありますね。

また、何百ページもある分厚いマニュアルでも、「作業者はどのページを見ているか?」、逆に「どのページが見られていないか?」という情報まで分かれば、現場のニーズが製品責任部門やマニュアル作成者に伝わり、今後の改善につながるでしょう。


でも、従来のような、紙のマニュアルでは、こんな情報は全く取れませんよね。WordやPDFなどで電子化されていても、普通はなかなかそこまでの情報は取れないですよね。

そこはアクセラテクノロジにお任せください!


ナレッジの動脈と静脈を循環させる「キュレーター」

現場のニーズや気づきに基づいて、新たなナレッジを集め、それをナレッジベースに反映させる事で再び現場に配信していく、まさにナレッジの循環をまわす心臓の役割を担うのが「キュレーター」です。

キュレーターなどという役職はなくても、ナレッジ活動がうまくいっているプロジェクトでは、推進担当の部門や担当者がいたり、ワーキンググループでキュレーターの役割を実現しているケースが多いものです。

特に、部門横断でナレッジ共有を行う場合には、キュレーターの役割は大きくなっていくことでしょう。

複数の部門が一つのナレッジベースでナレッジを共有することは、ナレッジマネジメントの理想です。

例えば、

・営業部門に寄せられるクレーム情報
・お客様窓口に届くお客様からの質問やご意見
・生産現場で発生する不具合情報

といったナレッジは、設計・開発部門における非常に貴重なナレッジになるからです。

設計・開発という上流の工程で、「部品調達コストを下げる」「生産原価を下げる」「不具合の発生しない製品を作る」ことが可能となるのです。

また、異なる部門の知識同士の結合は、イノベーションが生まれるきっかけになると言われています。あえて部門横断的にナレッジを共有することで、社員の知識をより革新的に活かせます。

キュレーターの役割はさらに大きくなりますね。



ナレッジマネジメントは「知識経営」と訳されます。
まさに、血液の循環のように、社内のナレッジが循環して経営に活かされることは、会社の持続的成長に欠かせないものです。


ナレッジマネジメントで成果を出すためのIT導入のポイントについて、セミナーでお話ししています。ぜひご参加ください。


それではまた次回!

村上 修司(KMエバンジェリスト)

前職では4,700人以上が参加するナレッジマネジメント(KM)を実践、 フレームワーク「SECIモデル」を意識して、たくさんのハピネスを創りました。 会社の枠を越えたコミュニティの運営もしています。 現職を通じて、KMの素晴らしさを世に広げることが人生のミッションです☆彡

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